雨月物語みたい

ぴらぴらは、雨月物語の、「こちら側の主人公」によく似ている。抽象化された人格。地に足が着いていなかったりとか、それでいて、妙なことにこだわって妙なまま実現してしまったりとか。そもそも、自分を物語の主人公に擬しているだけで十分、同類なのである。


雨月物語の向こう側の主人公は、それはそれは真剣で、生身の現実に向き合っている。「自他の関係の総体を意識し、その重みに堪える者である」。


こちら側の主人公は、向こう側の主人公と話が通じ、うまく対処したように錯覚するが、実態はぜんぜんそうなっていない。向こう側の主人公は向こう側の主人公で、こちら側の主人公がいなかったならそうはならなかっただろうというところに、身をおくこととなる。