精神の翼

しかし、高貴な者の危険をいうなら、それは善人となることより、むしろ鉄面皮な者、冷笑する者、否定する者となることだ。

ああ、わたしは自己の最高の希望を失った高貴な人々を知っていた。そのときかれらは一切の高い希望を誹謗する者と変わった。

そのとき、かれらは束の間の歓楽を追って、厚顔無恥に生き、その日暮らし以上の目標を立てることをやめた。

「精神もまた情欲の一種だ」──と、かれらは言った。こうしてかれらの精神の翼は破れた。ここに精神は這いまわり、噛みつき、汚す虫けらとなった。

かつてはかれらも英雄になろうとした。かれらは、いまでは放蕩者でしかない。かれらにとって、英雄は恨みと恐怖の対象だ。

しかし、わたしはわたしの愛と希望の名において、あなたに切願する。あなたの魂のなかの英雄を投げ捨てるな! あなたの最高の希望を聖なるものとして保ってくれ!──

ツァラトゥストラはこう言った

むむ。そうか。