デカルトの方法序説の第六部

山形浩生訳より。

もし万が一、わたしが有名になったりしてしまったら、自分を向上させるためにとっておいた時間が失われてしまうと思ったからだ。万人は、自分の力の限り、他人にとってよいことを行うようにつとめるべきだというのは事実ではあるし、だれにとっても便利な存在でないというのは、まさに無価値な人間になるということではあるけれど、でも一方ではわれわれの気づかいは現在だけにとどまるべきではないし、後世にとってずっと大きなメリットをもたらす何かを達成しようとしているなら、いま生きている人々に対してメリットのあることを多少は削るのもよいことだ、というのも真実だ。

わたしは常に、この世の最高の富貴を与えてくれるような人物よりも、わたしがじゃまされずに隠退生活を楽しむことを可能にするだけの配慮を与えてくれている人たちのほうに、感謝の念を捧げるものである。

というあたりが、共感できる。


読んでみると、やっぱこのひとむっちゃ頭いいわー、と思う。