桜田門内のぴら


夜中の桜田門内に板チョコかじりき。門を額縁とし灯に照らされたる柳がぴらとも動かぬを左に、右は丸の内の楼群をなのめに、うちながむ。前には、空よりもくろぐろのっぺり宮城の森。対照いみじくもあはれなり。


かくも人のすくなきは、なにゆゑか。世の人の夜景をたふとぶとて、空をめぐる籠やら天を摩する楼上にあまたつどふは、みづから覚えざらめ、籠や楼の名を愛するところ大なり。楼籠の名を人にいふを愛するところ大なり。人にして、名にあらず景を愛せましかば、この地、かくもしづかならざらまし。


世の人を責むるにあらず。かかること「ぴらぴら週記」に書かむと板チョコ片手に思案するぴらぴらもおなじ。